偏差値2那由多

一般男性の公開ポエム

健康に良いとされる食べ方はまず野菜から

食事が辛くなった。

僕はしょっぱい食べ物が好みなので、ラーメンやハンバーガー、中華料理をよく好んで食べていた。ステーキもミディアムレアくらいで塩を多めにまぶして頂くのが正義だと思っていた。そして、しょっぱい食べ物はだいたい脂っこい。

しかし、ここ最近消化が悪くなり、今までのように脂が乗ったものを楽しめなくなった。特に直近の半年はひどく、去年の8月から体重が5キロほど落ちていた。かなり早い段階で満腹になるし、上限を超えた分は翌日腹痛として振り返られる。太ることがないのがメリットに見えるが、翌日の地獄を恐れて食べる量を減らした結果体重がかなり落ちた。

また、食後に急に眠くなることが増えた。眠くなるというよりも意識が途切れるような感じで、気づいたらベッドで寝ている、ということが多くなった。当然胃に食物が入っている状態なので、寝起きの時間はいつも気持ち悪い。よって、食後のタイミングで重要な用事を入れることを控えるようにしていた。

酒も飲まなくなった。食後の眠気も大体はなんとか我慢できるものが多いが、酒が入るとディールブレイカーになりがちで、大体の確率で値落ちしてしまう。なんとなく酒に弱くなった気もしていて、酒を飲む楽しみをデメリットが大いに上回ってしまい、極力酒を控えるようになった。酒自体は好きなので結構辛い。

 

このように食事に悩まされていたとき、とあるゲームの「健康に良いとされる食べ方はまず野菜から」という何気ないセリフを思い出した。調べてみたところ、最初に野菜を食べることで食物繊維が先に消化され、血糖値の急激な上昇を抑えるらしい。これによって脂肪や炭水化物を吸収した後に眠くなるのを防ぐという。

とりあえず試してみたところ、実際に食後に急に眠くなることがなくなった。また、食後も意識が継続しているため消化も続いており、翌日腹痛に悩まされることも少なくなった。

言われてみれば、僕が好きな食べ物はだいたいジャンキーで、炭水化物とタンパク質と脂質が同時に口の中にとろけるのが醍醐味だった。そして、食物繊維をあまり意識的に摂取していなかった気がする。

 

個人的にはかなりの朗報で、食事の順番に関して一定のルールを設ければ食事に悩まされずに済む可能性が出てきた。野菜を先に、そして無意識に食べることを習慣づけることが出来れば、いままで好きだった食べ物をたらふく食べることができるようになるかもしれない。他人と食事に行くときに悩んだり気を遣ってもらう必要もなくなるだろう。

なので今年は「美味しいものを楽しく食べる」を一つの目標にした。具体的には少しずつ食事の量を増やして、胃のトレーニングをする。その際、先に食物繊維を取ることで血糖値の急な上昇を抑える。他にも消化に良い食べ方を模索して、食を彩りたい。

酒も飲めるようになりたい。やはりパーティで酩酊状態で話すのは楽しいので、前みたいに何も気にせず酒を飲めるようになりたい。

 

(私は栄養の専門家ではないので、上記の内容が間違っている可能性があります)

2022年コンテンツまとめ

もうすぐで2022年が終わる。毎年恒例の面白かったコンテンツを列挙して1年を締めたい。いつも通り、ちょっとした近況のアップデートも添えて。

過去のまとめはこれ:

i5nb.hateblo.jp

i5nb.hateblo.jp

1. Outer Wilds

Outer Wilds for Nintendo Switch - Nintendo Official Site

とある惑星の新米宇宙飛行士になって、同じ太陽系に属する他の惑星に行って冒険をするインディーゲーム。

このゲームを始めるとすぐに分かるが、宇宙飛行士訓練を終えて宇宙へ旅立つ瞬間から22分後に不思議な音楽が流れ、太陽が超新星爆発を起こして死んでしまう。そして時間が22分巻き戻り、リスポーン地点から開始する。

当初の目的は他の惑星を冒険することなのに、「なぜ22分で超新星爆発が起きるのか」「なぜ主人公は22分をループをするのか」「なぜ主人公はタイムリープを観測できるのか」という疑問が生まれ、それに答えるために様々な場所を訪れヒントを得る。そのヒントをもとに新しい疑問が生まれ、なにか新しい手がかりがないか惑星系をあっちこっち移動する。移動をするにつれ、過去にこの惑星系を訪れた宇宙人がいたことを知る。この宇宙人の足跡を辿って、なぜ宇宙人はここに来たのか、宇宙人は何をしたのか、その後どうなったのかを知りたくなってくる。

このようにして連鎖的に疑問が生まれ、少しずつ解決していくに連れゲームの本当の目的がわかるようになる。

プレイヤーの好奇心をここまで刺激するゲームに出会ったことがないし、今後もなかなか出会わないと思う。多くのゲームでは遊ぶ目的が早い段階で明確にわかるが、Outer Wildsはそれすらも自分で能動的に探さなければいけない。1時間前にゲームの目的だと思っていたものが今は違ったりもする。その分、本当の目的を知ったときのカタルシスは大きかった。

多くの知り合いに勧められるゲームだが、どう勧めたらいいのかがわからない。非常に面白いゲームだったが、何が面白いのかを説明した瞬間にネタバレになってしまう。そもそもOuter Wildsの何が面白いのかを探すのもエクスペリエンスの一部なのだ。

「とりあえず宇宙飛行士になって旅をするゲームらしい」という事前情報だけで遊んでほしいなと思う。実際僕もそのくらいの事前情報で遊んだが、正月休みが完全に潰れるくらい没頭してしまった。最初はよくわからないかもしれないが、絶対にハマるポイントがある。当然好奇心を煽るゲームだけに情報量が多いので、たまにマシュマロを焼いて休憩するくらいが丁度いい。

2. ヘンタイ・プリズン

Amazon | ヘンタイ・プリズン 初回限定版 | アダルトPCゲーム | PCソフト

今年発売された美少女ゲーム。ふざけたタイトルとは裏腹に非常に完成度の高いゲームだった。

舞台はアルカトラズ島のような孤島の性犯罪者向け刑務所。ひたすらスパルタ労働させられて刑務官に一日中イビられるようなディストピア世界で、主人公がどう服役をしてどんな軌跡を辿るのかを見届ける作品。労働をしたり休み時間に仲間を作ったり敵対することでコミュニティを形成し、その過程で主人公の人格も形成されていくという、意外にも人間味のあるドラマだ。

美少女ゲーム恒例のヒロイン選択があるが、このゲームではヒロインの選択は敵の選択にも繋がる。意地悪なモブの囚人はもちろんだが、看守ともタッグを組んだりバトルしたりする。宗教活動をする看守、心と家庭に問題を抱えている看守、囚人に暴力的な看守。ヒロインがいずれかの看守と対立した時、誰をどう味方にすれば状況を打開できるのかハラハラしながら読んでいた。

このゲームの素晴らしい点を一つ挙げるとすると、プレイヤーが得られる没入感だ。他の囚人から陰湿ないじめを受けたり、理不尽な看守から独房にぶち込まれるシーンがなかなかリアルで、読んでいるこっちまでしんどい気持ちになる。それをヒロインが助けてくれたり、カウンセラーが優しく悩みを聞いてくれると少し心が晴れる。この2つを繰り返すことで、あたかも自分が刑務所に入っているかのような感覚になり、いつの間にかゲームに没頭していたりする。

ゲーム制作者側はヘンプリを通じて近年の表現規制の傾向に疑問を呈した。途中で出てくる人物が「娘が性犯罪被害者で、全ての性的表現が娘のトラウマを連想させるので厳しく規制すべき」と主張する。この人物と敵対するシーンがあるが、非常に際どいことをやっているなと感心した。この人物のような境遇の話を聞くと感情論として流されがちだが、だからといって性表現を含んだコンテンツにしわ寄せが行くのはおかしいのでは?と反論する形になっている。

前作の「ぬきたし」とはテーマが異なるが、非常に納得感のある論理構造をストーリーとして組み立てていて感激した。あと細かい点だが、可愛げがあって愛されているソフィーア看守のニックネームが「ソフりん」なのもなかなか喧嘩売ってて笑える。

Qruppoという会社自体がこういう社会風刺的作品を好むのかもしれない。「ぬきたし」では現実で性的多数派に属する人をあえて少数派にして、ゲーム内の多数派を「抜きゲーみたい」に性に奔放する人達と描き、望まない性行為が生み出す苦しみや現実の少数派の見えない葛藤を表現していた。今作では逆に、ありとあらゆる性表現を規制したディストピアを舞台にして、近年の感情論で表現規制を振り回す風潮に釘を刺した。両方とも2020年代において重要な争点であるが、渦中にある美少女ゲーム業界でここまで声を上げたケースは少ない。

シェイクスピアマクベスでは、中世ヨーロッパの劇場の特性を生かして男女の役割に疑問を呈した。同じくして、Qruppoは美少女ゲームというプラットフォームの特性を生かし、現実の問題を表現できる会社だと確信した。こういうメッセージ性の強いゲームを作り続けられるのならば美少女ゲームの未来を感じるので、Qruppoを今後も応援したい。

3. 明日ちゃんのセーラー服

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限界集落在住、ほぼほぼ廃校状態の小学校に通う明日ちゃんが見事名門私立女子校に合格、中学デビューして友達をたくさん作るという話。ブレザーが規定の制服の学校だが、諸事情で明日ちゃんだけセーラー服で登校するという設定で、セーラー服がシンボルになってストーリが展開される。

キャラクターが全員びっくりするほど無垢で、微笑ましいなと思って視聴していた。思春期に起きる様々なイベントやよくある失敗経験を美化するようなアニメで、自分の過去と照らし合わせて悶々とする。ただ、周りのキャラクターが善人ばかりなので、絶対に悲しい展開にはならない。全話通して心温まる話で、ストレスなく楽しめた。

一番気に入ってるエピソードは7話の「聴いてください」。音楽が好きだが楽器経験がないクラスメイトが、何気ない明日ちゃんの質問に「自分はギターをそこそこ弾ける」とこぼしてしまい、嘘がばれないように隠れてギターの練習をして実際に披露するという話。小さい頃にちょっと見栄を張って嘘を付くという経験をしたことがあるので、嘘をついた分頑張って練習をしているクラスメイトの姿に感動した。実際に曲を演奏するシーンでは、スピッツのチェリーを披露。懐かしいなと思いつつ、初心者らしいシンプルなコードとぎこちない語り引きが中学生らしいリアリティを醸し出していて、すっかり作品に吸い込まれてしまった。

全体として絵もとても綺麗で、アニメーターが全力で作った作品なんだろうと容易に推測できる。原作者のフェチズム全開な部分があるので万人受けするわけではないだろうが、絵のクオリティに関しては満場一致で高評価になると確信している。

個人的には近年の日常系アニメの中ではダントツで刺さった。難しいとは思うが、2期に期待したい。

4. コテンラジオ

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スタートアップ企業の株式会社COTENの社員が定期的に更新している歴史系ポッドキャストシリーズ。春くらいに勧めてもらい、最初は「話が硬そうだなあ」と渋々聞き始めたのだが、面白すぎて気づいたらほぼほぼ全話聴いていた。

1話20分から40分程度、1シリーズ4話から15話の構成で日本史・世界史の説明をするという番組。歴史の有名な時代だったり、著名な偉人の紹介をしたりする。かなり詳しく説明してくれて、偉人紹介をする際も偉人が生まれた時代背景を説明するだけで4話とか話し込むことがある。

コテンラジオは番組構成が視聴者にわかりやすい形になっている。複数名の歴史に詳しい人達がシリーズについて本を読み漁り(番組には出ていない会社の人達含めて1シリーズ30冊とか読んで台本を練っているらしい)、時代背景から実際のイベントまでの経緯をストーリーのようにして話している。ここに一人、調査に参加していない人がスピーカーとして加わり、相槌を打ったり質問をしたりする。視聴者としては本来一方的に情報を受け取ってるだけだが、自分のように事前情報が一切ない人がリズムよく相槌を打つことで、あたかも双方向のコミュニケーションを取っているかのような錯覚を得る。受動的に聞いているだけなのに能動的に学んでいるように感じることで、内容が脳に入りやすい。他の解説系動画もこのフォーマットを採用してほしい。

僕は昔から歴史が好きなので、ざっくり事前情報を持っているシリーズもあるが、それでも毎度新しい発見があった。特にメインスピーカーの深井さんのストーリーテリング能力が非常に高くて、時代の情景をイメージしやすい。論理構造も様々な工夫がなされていて、シリーズについてある程度知っているつもりでも「そういう解釈もあるのか」と何度も感心させられた。

こう書くとガチガチのお勉強番組に聞こえるが、実際は話のトーンやムードはかなり緩めで、歴史弱者だと思っている人でも楽しめる構成になっている。ちょいちょい茶々を入れたり、現代っぽい例えを使ったりして、聞いている側がふるい落とされないような工夫があちらこちらでされていて安心して聞いていられる。いわゆる「まとめサイト」くらい軽い気持ちでアクセスできるが、まとめサイトのように重要な情報を削ぎ落としていないので、クオリティの高い内容を楽しくすらすら勉強できた。

歴史興味ない、歴史なんか勉強して何の役に立つの、という人にこそ聞いてほしい素晴らしいポッドキャスト。シリーズを半分くらい聞き終わった頃にはもう歴史弱者は名乗れなくなるだろう。ちなみに個人的にお気に入りのシリーズは「フランス革命」「アメリカ開拓史」「フリードリヒ大王 」あたりなので、どれから聞けばいいかわからない人はこの辺をおすすめしたい。

5. リコリス・リコイル

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日本は治安の良い国として知られているが、実はあらゆる陰謀が事前に防がれていたというIF世界。喫茶リコリコのウェイターとしてカモフラージュしているが、実は暗殺組織リコリスに所属している井ノ上たきなと錦木千束が悪人を処刑したりしなかったりするアニメ。

リコリコを見終わったとき最初に抱いた感想が、よくこんな壮大な世界観を13話のアニメシリーズに落とし込んだな、ということだ。EDに出てくる喫茶リコリコの5人はもちろん、たきなが所属していたDA本部の同級生、敵役の真島など結構な数の登場人物がいて、それぞれが戦う目的や強い矜持を持っている。それを13話という限られた時間の中でスムーズに表現した上で、特に禍根を残すことなく話を終わらせたのはびっくりした。

全体のムードも割とポップに作られている。喫茶リコリコだけを見ても、下町の木造建築に紫と水色のステンドグラス、試験管に詰められた団子と桜のアクセント、和服を着たダンディな店長、キャラの濃いNPCの客などなど、あちらこちらに細かい設定が散りばめられている。これらの設定は一見瑣末に見えるが、全体で見ると「暗殺モノ」の前提を覆すように緻密に作られている。ポップなムードと殺伐とした雰囲気が融合して「こいつを殺すべきだ」「いや本当に殺してもいいのだろうか?」といった主人公たちの葛藤が理解しやすかった。

新しいアニメがマンネリ化してるなと思っている中で唐突に出てきた刺客だった。話題になったので大衆向けに見えるが、かえって僕みたいな逆張りオタクの方が楽しめる作品だと思う。リコリコのようなクオリティの高いアニメを定期的に見れるなら、まだアニメを楽しめる気がする。

6. The Office

The Office (2005) - NBC Series - Where To Watch

ペンシルベニアのとある架空の製紙会社の日常や恋愛風景をドキュメンタリー風に撮ったシットコム。200話くらいあるが、面白すぎてものすごい速さで視聴した。

コメディに関して言うと、「声を出してゲラゲラ笑える」というよりは「あまりにもシチュエーションにハマりすぎていて気持ちがいい」みたいなのが多い。一番顕著なのはジムのいたずらで、現実でやったらクビになりそうなレベルに陰湿なのに何故かスカッとする。他にも、支局長のマイケルがあまりにも無神経で痛々しくて見ていられないが、それでも見てしまう謎の愛おしさがある。

恋愛ドラマとしてもクオリティが高い。すごくお似合いに見えるジムとパムがいつ付き合うのか悶々と見ていた。ライアンとケリーの崩壊した関係を見るのも面白い。個人的に職場恋愛というものがあまりパッとしないのだが、これくらいロマンチックな恋愛と狂気のような男女関係が入り組むと逆に楽しめる。全体的にまともなキャラクターと狂気に満ちたキャラクターが半々で分かれていて、それぞれが恋愛や陰謀を通じてThe Officeならではの世界を創っている。

個人的に好きなキャラはエリンとクリード。エリンは途中から入ってきた受付係で、小動物的な可愛らしさとちょっとした闇の深さを抱えていて、このような性格から生み出されるドラマが面白い。クリードは色々と謎の多いおじいさんで、発言回数は社内トップクラスで少ないが、その分狂気のレベルもトップレベルで高い。他のキャラも独特のセンスを持っていて、それらが交差してダイナミックな構成になっている。

このドラマを見て色々と考察したいこと(プロットの深読み)があるが、やる気が出たら別の記事で書きたい。この記事だとまとまったことを書ける気がしないので……

7. Do It Yourself!!

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新潟のとある町の女子校でDIY部として活動するという日常もののアニメ。犯罪級に過小評価されているアニメだと感じた。

タイトルから「おっさんの趣味を女子高生にやらせるアニメ」だというのはもともと分かっていたので、これに関しては期待通りだった。工具をちょっとずつ覚えて、頑張って自分だけのモノを作って喜んでいる姿が微笑ましい。「資金力ではなくて創意工夫でなんとかしましょう」などなど、ふわっとした日常の中にDIYをやる人達の思いが散りばめられている。

予想外だったのはアニメの時代感とのマッチングだった。様々な作業の自動化が進んだ未来の小田舎で、手先が非常に不器用な主人公がDIYを通して成長していくという、一見直感に反した設定が面白い。ここまで産業が発達してる世界で自作でモノを作るのは意味ないし、不器用な人が工具を触るのは危ないように見えるからだ。実際にそのような心無い発言をする登場人物が出てくるが、物語が進むにつれて自分でモノを作る感動を知って心変わりしたりする。どの時代においても自分の手で作ったものはプライスレスだよね、と物語るかのようだ。

全体の絵も手で描いた感を醸し出すタッチで、ずっと見ていられる優しいアニメ。未来の話なのに何故かノスタルジックに感じる。今月で終わってしまうのが残念で仕方がない。

近況

今年は去年ほどではなくとも忙しかったし、精神的にもあまり安定しなかった。特に11月にコロナに感染してからつい最近までブレインフォグみたいなのが続き、何をやってもうまく行かず辛かった。ただまあコロナに罹る前から失敗が増えていて、コロナがトドメを刺したと言ったほうが良いか。

生活リズムも不安定になって、時間が合わなくてほとんど人と話さない日々も多かった。去年までリモートだったのが揺り戻しで対面になってきたが、僕は対面のリズムに対応できなかった。全体的に見て2022年は酷い年だったので、早く終わってほしい。

反対に春から夏にかけて休みが取れて旅行に行ったりできたのは楽しかった。国立公園で絶景を見たり、フェリーに自転車を積んで九州に行ったり、普通電車で特に目的のない移動をしたりした。その他の時期も、上記のコンテンツを消費してなんとか食いつないだ。来年はあまりストレスに駆られることなく、もうちょいワクワクするイベントを挟めるといいな。

2023年から東京で仕事をすることになった。今いる場所を離れることにちょっとした寂しさを感じるが、東京には知っている人も多いので楽しみだったりもする。色々と不確かな未来ではあるが、いい1年にしたい。

首都圏に住んでいる人は是非エンカしましょう。

 

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愛しいこんな日々が、ずっと続きますように

 

言語の分布が会話の前提知識に与える影響

日本語を話す世界に生まれた僕がここ最近気になっているのは、他の世界では国と言語がどれだけ密接に繋がっているだろう、ということだ。

日本語で文字を書くときは、読み手は恐らく日本に住んでいる日本国籍を持つ人間だろうと仮定して書いている。この仮定は統計的に見て何も問題ない。世界人口を見たとき、日本語を母国語とする人は9割以上日本に分布している。日本語学習者というのもそこまで多くない。だから日本語で書くときに、日本のコンテキストを前提に話を進めることは何も問題ない。

もし自分が別の言語を話す世界の人間で、その言語は国をまたいで分布していた場合、これは問題になるだろうかということが気になった。

 

例えば、Wikipediaで工学学士のページを日本語で開いてみる。なぜWikipediaなのか、なぜ工学学士なのかと聞かれそうだが、特に理由はない。

ja.wikipedia.org

僕がこの記事を書いている段階での概要の段落を引用する。

当該学位は主に四年制大学の工学部や理工学部系統の学部学科で取得が可能である。日本国内での工学分野の学士号は比較的古く、工部大学校の卒業生には第1等及第した場合には工学士の称号が授けられ、第2等は試験を課し合格した場合に授けられる制度が定められていた。

世界中のどこに行っても、4年ないし3年制の大学の工学部を卒業した学生には工学学士が与えられる。それなのにこの記事は日本のことを強調して書いている(僕がこの記事を書いている段階では他の国での工学学士についての記述が一切ない)。

恐らくだが、このページを編集したユーザーは日本に住んでいる日本語話者で、他の国の工学学士についてあまり馴染みがないのか、読み手が日本の工学学士について知りたいであろうという前提で編集したのであろう。他の国の工学学士について追加で書いたらバラエティ豊かな記事になるのは間違いないが、今の状態で何一つ問題ないし、よく調べて書いた記事だなと感心した。

 

ところで、同じページを英語で読んでみた。

en.wikipedia.org

概要欄の段落を引用する。

In the UK, a Bachelor of Engineering degree will be accredited by one of the Engineering Council's professional engineering institutions as suitable for registration as an incorporated engineer or chartered engineer with further study to masters level. (中略) The Bachelor of Engineering contributes to the route to chartered engineer (UK), registered engineer or licensed professional engineer and has been approved by representatives of the profession.

要約すると、イギリスではEngineering Councilという機関がエンジニアとして持つべきスキルが何かを定めた上で、それに準じたカリキュラムを提供する大学が工学学士を授与できるらしい。ちなみに中略したところでは手短にカナダの制度についても語られている。

このページのコンテンツは大きく2つ別れていて、Engineering Fields (工学の分野)とInternational Variation(外国の制度)となっている。International Variationではオーストラリアとカナダで誰が工学学士を定義するのか、誰が授与するのかについて説明されている。

 

ここまで読んで思ったのは、恐らくこのページを編集した人は英語話者で、イギリス人ないしイギリスの大学の制度について詳しい人であろうということだ。最初の概要欄がイギリスの制度から始まっているのもそうだが、オーストラリアとカナダを外国扱いしているところから明らかだ。

これを読むオーストラリア人やカナダ人はどう感じるのだろう?工学学士は別にイギリスの特許ではないし、Wikipediaの英語ページもイギリス人向けのものではない。なのに「外国の制度」として扱われている。

ちなみにこのページにはいくつかの問題があると指摘されているが、そのうち一つは「国際的視点(a worldwide view)で書かれていない可能性がある」と書かれている。僕が今まで書いたことを加味すると当然の注意書きになるが、それを言ってしまえば逆に日本語の工学学士のページなんて「日本的視点」しかない(日本語のページには特に注意書きはない)。

 

日本語と英語のWikipediaページを比べただけなので何ら証明にはなっていないが、感覚的に「日本」と「日本語」というものは他の国と言語に比べて非常に密接に繋がっているだろうということがわかった。よって、先程の工学学士のページを編集したユーザーに「日本を前提に書くのは日本国外の日本語話者に不公平だろう!」とイチャモンを付けるのは、間違ってるとまでは言わないにしても、いささか重箱の隅をつつくような行為になる。

逆に、他の言語は(特に大陸において)国をまたいで分布していることが多いため、話すときや文字を書くときに国のコンテキストを入れるときには少し神経を尖らせなければいけない。当然その言語の分布にもよるだろうが、同じ言語を話すからといって前提知識が共有されているとは限らない。

どっちの状態が正しいかという議論には正直興味がないが、このように日本で育ち日本語を母国語としている自分が持ってない感覚を他の国の人が持っているという事実に関心を持っているし、他にあるならば知りたいな、とぼんやり考えた。