偏差値2那由多

一般男性の公開ポエム

麻原彰晃とEU死刑制度反対声明へのクソリプ

オウムの麻原彰晃と他信者の死刑が執行されたらしい。

結論から言うと、行政の勝ちってことなのかなと思う。まあ、勝利のボタンを法務大臣が持っているわけだから実質勝ちも何もないんだけど、やっと「厄介者」を排除できたという意味では勝ちなんだろう。

それにサリンの事件自体がもう二十何年も前の話で、それこそ僕が生まれる前後の話なので、国民全体でサリン事件自体が大きな問題だという認識が薄い。もちろん被害者遺族がいて数多くの関係者がいるってことは分かるんだけど、少なくとも僕の世代からしたらピンとこない。ニュースにはなるけど、せいぜい数日話題になる程度だ。

そういった総合的な意味で、法務省側の勝ちと言える。

 

僕は少なくとも麻原彰晃に関して今のタイミングでの死刑執行は相応しくないと思っている。そして麻原に対する死刑執行が相応しくないので、他の死刑囚も今すべきではない。大体の意見は半年前の松本麗華氏に関するエントリーに書いたし、ツイッターにも投稿している。

i5nb.hateblo.jp

個人的には麻原が仮病を使っているとは到底思えない。もしかしたら途中まで仮病だったのかもしれないけれども、少なくとも昨日までの麻原が「通常」だったとは言い切れない。

大体、麻原が健康だと主張する人の根拠が”死刑判決を受けてから独房で「何でだよ、畜生!」と叫んだ”、しかない。麻原が昏迷状態にあったと言う主張のほうが何倍も説得力が有る。

刑事訴訟法に従って公判停止手続をしない、明らかに精神が潰れているのに治療をしないなど、明らかに法の支配に反した事ばかりする司法と法務省の後ろ向きな態度に僕は落胆した。

 

死刑執行やそもそもの判決の是非は置いておいて、執行するなら執行するでまず昏迷状態を回復するよう治療し、麻原に事件の動機を聞いてから執行したほうがいい。無差別に毒ガスを撒くなんてよっぽど強い悪意と計画性がないと出来ないわけで、そういった事件が起きないようにする意味でも麻原の動機は聞くべきだ。もちろんはぐらかすだろうし、聞く側はイライラするだろう。しかしこれだったらルールを守ったと胸を張って言えるし、あまり多くの人を傷つけずに済む。

それなのに早とちりして死刑執行を選んだ行政の罪は大きい。

多分、麻原自体がめんどくさかったんだろうなとは思う。本音としては僕が言ったことをしたいんだろうけど裁判で頓珍漢な証言するから動機は聴けないし、これで治療したり生かそうとしたら税金の無駄と騒がれ、死刑執行したら人権団体からクレームが来る。

特に東京オリンピックが開催される2020年まで生かしてしまうと、死刑囚を拘置所に20年も入れるのは人権侵害だと騒がれるし、逆にそのタイミングで死刑執行してしまうとそれも人権侵害だと言われる。

どっちみち、チェックメイトだったんだろう。治療なんてするより、今のうちに執行した方がクレームが一番少ない。

テロリストの芽を一つ潰したという考え方もあるのだろうが、僕としては非常に腑に落ちないニュースだった。これだけ重大な事件なだけに、もっと慎重になってほしかった。

 

このニュースについて興味深いのは、EUが今回の死刑執行を受け死刑制度そのものを廃止するよう求めてきたことだ。

eeas.europa.eu

これに対する日本人の反応が思った以上に面白かった。

まず第一に思ったのが、日本人ってすごく死刑制度にこだわりがあるんだなあということ。もちろんツイッターのリプライなりはてブのコメントなりを見て日本の民意を概算するのは邪推だが、「死刑制度を続けるべきか」と国民投票をすれば7割以上の人が賛成する自信がある。

それくらい「間違ったことをした人は死すべき」という概念がへばりついているからかわからないけど、EU死刑反対声明へのコメントの8割が反動的だった。

 

一番笑ってしまったのは、「日本には日本の法律がある。他国が口出しするな。そもそもお前らの国は犯罪者を射殺するだろうが」というものだった。

ワタシバカデスと宣言しているようなものだ。

まず第一に、この宣言は日本の法律が倫理的におかしいから考え直してね、というものだ。それに対する防御が「いやこれ日本の法律だからw」というのは反論として弱すぎる。

1+1=4と書いた子供に対して「間違っているのでは?」と聞いているのに「いやこれ4だから」と返されたら唖然とするだろう。

 

それ以上に滑稽なのは、そもそも政府が守っていない法律を盾にして日本の法律を自慢していることだ。

先程のエントリーでも書いたが、僕が知ってる限り司法・行政が現状のルールを遵守しているとは思えない。要するに憲法や法律というのは紙くずなのだ。そもそもネットをちょっとやっていれば、冤罪被害者が公安に何されるかというのを知るはずだ。

そもそも、麻原彰晃死刑執行の顛末というのは日本の法執行機関が腐っていることを示すケーススタディなのだ。

暴力装置が正常に機能していない国のルールを元に「銃殺するお前らよりはマシだ!」とマウントを取るなんて、裸の王様にも程がある。

 

僕は現行の死刑制度自体にかなり懐疑的だし、代替として終身刑を適用して一生をかけて罪を償わせるシステムが税金の無駄遣いだとは感じない。だからこそ、何もかもが不透明な中で行われた死刑執行に関しても、EU死刑制度反対声明に対するクソリプに関しても残念な気持ちでいっぱいだ。