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一般男性の公開ポエム

政治や社会を学びたかったら軌跡シリーズをやれ【ネタバレなし】

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前から何度か言っていることなのだが、政治学や国際関係に興味があるけど知識がないよって人は大学の国際関係入門の授業なんか行かないで軌跡シリーズを遊ぶべきだ。実際、僕が軌跡シリーズを遊ぶことで時事問題に耳を傾けるようになったことは事実だ。

軌跡シリーズを遊んだことがない人に、どういったゲームなのかとその世界観を簡潔に話そうと思う。

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軌跡シリーズとは「ゼムリア大陸」という架空の世界の各国で起こる諸問題を一人の主人公の軌跡に焦点を当てて描く長編RPGシリーズ。南のリベール王国の空の軌跡3作に続き、中央のクロスベル自治州を描く零の軌跡碧の軌跡の2作、そして西のエレボニア帝国にまつわる閃の軌跡シリーズ3作の計8作から成り立つ。今年の秋には閃の軌跡の最終章が発売される予定だ。

この地域はある意味火薬庫みたいになっている。「閃の軌跡」シリーズの舞台となるエレボニア帝国はお隣カルバード共和国と犬猿の仲で、いつ戦争が起こるかわからない。悪化する関係性の原因の一つが「零の軌跡」と「碧の軌跡」の舞台となるクロスベル自治州で、長年両国が自治権を主張してきた土地なのだ。もしどちらかが武力行使をしたら戦争になりかねないので、お互い表面ではいい顔をしつつも裏で綿密な工作をしていたりする。

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零の軌跡碧の軌跡とは新米警察官ロイド・バニングスに焦点を置き、そんな危険な土地で起こる一般人の捜査を行いつつ、破壊工作や政治闘争を目の当たりにして両国の思惑を垣間見る物語だ。カルバード共和国・エレボニア帝国の両国の思惑は政治から市民の暮らしまでを蝕んでいて、ロイドが率いる特務支援課が最後の砦として腐敗したシステムに逆流する。

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リィン・シュバルツァーは閃の軌跡シリーズの主人公で、エレボニア帝国首都近郊にあるトールズ士官学院の新入生。彼が所属する1年VII組は帝国の貴族と平民が混在する新しいクラス。棘のあるクラスメイトと切磋琢磨しながら国内の貴族からなる保守派と平民からなる革新派の対立を目撃し、 国内情勢を俯瞰しつつ軍事学校のVII組として貢献できる事を探す物語。

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空の軌跡FC/SC(ファーストチャプター、セカンドチャプター)はある意味この壮大な物語の序章とも言える作品。リベール王国は数年前「百日戦役」と呼ばれる戦争で巨大なエレボニア帝国に勝利した。主人公のエステル・ブライトは民間団体「遊撃士協会」の見習いとしてリベール王国を冒険しつつ、百日戦役の真相と裏で動く謎の組織の影を知る。

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この関西弁の男はゼムリア大陸で一番親しまれている「七耀教会」の高いポジションにいる神父。空の軌跡the 3rdでは彼に焦点を置き、神父としてこれから起こる様々な国家事業やテロ組織の行動の一部を垣間見る。

 

何故僕が軌跡シリーズで政治や社会を学べると主張するかというと、この膨大なRPGの世界観に現実の社会に潜むしがらみが濃縮されているからだ。
例えば碧の軌跡の物語の途中で「西ゼムリア通商会議」という国際会議がクロスベル自治区で開催され、エレボニア帝国やカルバード共和国の代表が出席するのだが、途中で巨大なテロ工作が起こる。クロスベル編とエレボニア編は時間軸が並行するため、碧の軌跡のロイドの視点では直接的に何が起きたのかを確認でき、閃の軌跡のリィンの視点ではどのように報じられその工作がエレボニア帝国にどのような影響を及ぼすのかが間接的にわかる。クロスベル自治区というデリケートな土地柄、どうしてもこのような問題は「内部情勢の一端」とは片付けられないのだ。

この西ゼムリア通商会議、僕はある種現実のテロ事件を風刺したものだと確信している。具体的にどこらへんを皮肉ってるかというと、政治的なメンツを保つための建前と水面下で行われる緻密な工作は常にセットだということなどだ。

例えば同時多発テロを例に出すと、僕はあの事件で囁かれている陰謀論を多少肯定している。イスラム過激派が暴走して巻き起こした悲劇と片付けるにはあまりにも不自然だからだ。あの数々のテロを防げなかった不自然さ、ビル倒壊の速さの不自然さ、数々の大統領令が「安全保障」を盾に市民の自由権を制限し権力者が有利に回るようになった不自然さ。羅列すると、後ろで誰かが手を回していてもおかしくないんじゃないかと思ってしまう。

では誰がその「裏」にいるのか。誰がクライアントで誰が現場で誰にも見つからずに行動できたのか。これに関しては明るみに出ることはないだろうし、だから「陰謀説」であり「政治」なのだ。

所詮、政治とは公共空間における利害の擦り合わせにすぎない。綺麗事を言ってるように見えて、実は誰かが莫大な利益を得ようと大衆を扇動してるだけってこともよくある。しかしその実態を掴むのはなかなか難しくて、知識がないとイメージしづらいし当然議論に参加することもできない。

西ゼムリア通商会議の件に戻すと、誰がそのテロを企ててどのように自体が収束し、実際何が起きてどのように報じられたのかほぼ全ての角度から理解できる。これは現実世界の政治や国際関係の場における問題を把握するより格段と簡単なのだ。

 

実態が把握しづらく登場人物があまりにも多すぎる現実の国際問題に初めから手を突っ込むよりは、ゼムリア大陸という架空の世界で起こる事件を見る方が「政治」を学ぶ上では遥かに効率が良い。まあゲームの演出が露骨すぎるのもあるのだが、「わかりやすさ」をベースに考えると悪いことではない。

少なくとも現実世界の具体的な政治というのは泥沼で自分との直接的な接点が少なく、無理に手を突っ込むと痛い目にあうのがスタンダードだ。そんなものに手を突っ込むためにセオリーを勉強するということがマゾヒストに見えるかもしれない。

しかし軌跡シリーズに登場する政治はもっとシンプルで、本来「一般人」に近い立場にいる4人の主人公が世の中のしがらみに近づいていく姿は我々「一般人」には馴染みやすい。覚えなきゃいけない登場人物はまあ少なくとも50人はいるけど、50人覚えれば世界の全貌がわかるというのは逆にすごいのではないか。

 

今インターネットで時事問題の議論(バトル)に参加しようとすると確実に負ける。というのも、ネットのあるおかげでいつでもソースを引っ張ってくることができるため、論点をずらし「知識不足」であることを指摘されると反論ができないからだ。こんな状態では皆時事問題どころか政治の枠組みを学ぶ気が失せる。

それだったら軌跡シリーズを遊んで感覚的に世の中の仕組みを学べばいいじゃん。簡単にゲームの世界観を理解でき、それの殆どが現実のオマージュ/風刺であるため自然と現実世界の政治や国際問題の本質を考える基礎を作れる。仮想の世界なので知識不足であることがデメリットになることが一切ない。もう遊ぶしかないじゃん。

 

ここまで読んで少しでも興味が出た人は是非遊んでみてほしい。というのも、僕の身内で軌跡シリーズを遊んでる人が殆どいないため、この世界観やキャラクターについて議論する人が欲しいのだ。身内じゃないけど議論したいよって人はDMで連絡してほしい。僕が知らない人とでも好きな作品について語り合いたい。

ちなみに遊ぶ順番は空の軌跡FC→SC→the 3rd→零の軌跡碧の軌跡閃の軌跡閃の軌跡II→閃の軌跡IIIだ。

零の軌跡閃の軌跡から始めてもそこまで支障をきたす事はないが、様々な伏線を理解できないと思うのであまりおすすめしない。

空の軌跡FC、空の軌跡the 3rd、零の軌跡閃の軌跡は物語の全貌を見ると前菜みたいなもので、主菜は空の軌跡SC、碧の軌跡閃の軌跡IIにある。よってこの3作は盛り上がりが激しく、必然的にプレイ時間もやたら長い。

各作品50〜100時間は費やすので合計400〜800時間遊ばないと最新作まで追いつけない。2周遊んだりやり込み要素を詰めるともっとするだろう。実際僕は何作か2周してるので1000時間は超えている。30分アニメで換算すると2000話分なので気が遠くなるが、今まで遊んで損した事はない。強いて言うなら高校の複素数のテストで赤点とったことくらいだろうか……

むしろよかったことの方が大きい気がする。というのも、このゲームを通して社会システムを構築しているのが「誰なのか」という問いに拘るようになったのだ。愚かな大衆が社会の波を発生させてるという説明にはしっくりこないが、特定の集団が裏で糸を引いていると言ったほうが想像しやすくなった。実際世の中で起きてるおかしな現象の多くは誰かを一方的に潤すだけのものだったりする(そうでなければ成金エリート層の多くが社会主義に走る矛盾が発生しない)。その点、世の中に対する思考回路が比較的批判的になったのは事実だ。

 

繰り返すが、興味を持った人は今すぐ近くの家電量販店で空の軌跡FCを手にとってほしい。windows版とPSP版の他にPS Vita向けに高画質フルボイスバージョンもあるので。