偏差値2那由多

一般男性の公開ポエム

極化するアメリカ社会

f:id:i5nb:20171228153343j:plain

2016年11月8日、アメリカで「信じられない」と言われる出来事が起きた。ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスを獲得したのだ。今年の1月にはトランプがアメリカ合衆国大統領に就任し、ここ1年で連邦政府は政治経済の面舵を切った。

 

イギリスのYoutuberのジョナサン・パイ氏がトランプ就任についてコメントをしているので見てほしい。内容は英語だが、わからなかったら辞書を引いてでも見てほしい。そして、現状を比べてみて何か違いがあるか、もしくは似ている点があるかを確認してほしい。

パイ曰く、あの大統領選挙でヒラリーが負けた原因はリベラル派にあると言う。ヒラリー陣営はありとあらゆる手段を使って”なぜトランプが大統領に相応しくないか”をプロモーションした結果、逆にトランプに有利な状況を作ってしまったという。

リベラル派のメディアは終始如何にトランプが最悪な候補で人種差別者であるかを訴えた。自分がトランプ支持者だと公共の場で言うとリンチを食らうレベルにまでトランプ支持者を抑圧した。インターネット上ではトランプ支持者=性差別者、人種差別者、ボンクラといったレッテルを貼られた。

選挙前日にはビヨンセなどのセレブを招待し、「ヒラリー政権下でのこれからのアメリカ」の話をしたという。もちろん敗北宣言を書いたこともなく、ヒラリーが100%正義でトランプが100%悪だという一方通行な認識がアメリカや世界中に広がっていた。

しかし蓋を開けてみるとヒラリーはトランプの攻撃に夢中になり、実際の自分の政策を提示できなかった。トランプはTPP離脱やメキシコの壁、そしてISISへの強硬な態度など、議論の余地があるが少なくとも何かしらの政策を掲げていた。

トランプ支持者の大半は決して差別主義者だからトランプに投票したわけではない。現状に不満を持った有権者が、現状の抜け道としてトランプの政策に”期待”をしたから投票したのだ。だがリベラル派がそんな話を聞く耳もなく、ヒラリー支持者とトランプ支持者がまともな議論をすることもなくトランプが大統領の座を取るといった結果に終わった。

 

もちろん、マスメディアの情報しか見てない人から見たらトランプの勝利はあまりにも衝撃的だろう。彼らはヒラリーの勝利を絶対だと思っていたのだ。そういう連中は隠れトランプという存在を1ミリも認識していなかったんじゃないか。当たり前だが、一定数不確定さが存在したら選挙結果はひっくり返る。僕みたいな不適合者でもわかる「常識」の算数だ。

トランプをを支持していると表明すると「差別者だ!」と糾弾されるため誰一人声を上げることが出来なかった。隠れトランプは絶対存在した。当たり前だが、僕がトランプ支持者だったとして「お前は差別主義者だ!」と叫ばれた所で僕がヒラリーに票を入れるようになるとは思えない。

実際の選挙結果の数字を見ると隠れトランプではなく民主党支持者のヒラリーに対する棄権票の方が致命的だったのだが、それでもパイ氏の言うようなトランプ叩きによる有権者心理的作用というのは到底無視できない。

本当にトランプが嫌だった人達や何故トランプが選挙で勝ったのかわからなかった人達は、 前回の選挙から学ぶべきことがある。ちゃんと議論をすることだ。議論をするということは意見を発信することだけではなく、相手の言っていることを理解しようと努めることでもある。パイ氏は動画でリベラル原理主義的なプロパガンダを否定し、ディベートをしてあの大統領選挙のような不確定で排他的な世論を防ぐよう促した。

 

今日は12月31日、2017年が終わる日だ。果たして世の中はパイ氏が言うような合理的なディベートを促進するような場所になっただろうか。僕がインターネットを見る限り答えは否だ。

例えば、トランプのメキシコの国境に作る壁に反対し、国際移民デーストライキを起こした労働者を解雇すると言ったことが起きた。「移民みんなでストライキして移民がいなかったらどれだけ困るかクソ白人に思い知らせてやろうぜ!」とでも考えたんだろう。

www.theatlantic.com

これに対しインターネット上で「この解雇は不当だ!」「差別だ!」と叫ぶ人が多数いるのだ。

当たり前だが、仮に僕が社長で在日朝鮮人の従業員が突然バックレたらクビにする。それは僕が差別主義者だからではなく、その従業員が事前に連絡もせず突然現場を放棄して損害を出したからだ。もちろんそのストライキに法的正当性があるのならば別だが、そうでなければ従業員が「差別だ!」「不当だ!」と叫ぼうと僕は解雇する。もう一度言うが、これは差別でも何でもなく行動に対する結果だ。

 

天下のカリフォルニア大学バークレー校では、March for Trump (3月4日、クソつまらないダジャレ)にトランプ支持者と反対派の暴力沙汰が発生した。

www.reuters.com

 

これだけじゃない。トランプが就任して以来、SJWと呼ばれる差別や偏見に戦う勇者の皆さんの士気は高まっている。エバーグリーン大学では、黒人学生が白人教授を集団でリコールするようなことが起きた。

www.theolympian.com

世界一優秀なハーバード大学では、公式に黒人オンリーの卒業式を行ったらしい。そしてこれを「多様性の祝福」と呼んでいる。

www.nytimes.com

(ちなみにハーバード大学では統一の卒業式を行っている。この黒人オンリーの卒業式は任意のものだ)

 

僕はSJWの人が必死に止めたかったのは「トランプが大統領になることで起こる極化」だと思っていた。もしもトランプが完全な悪でトランプという人物が差別主義者で差別によって社会が分断されるとしたら、それは民主主義に悪影響を及ぼす。これについては過去記事を読んでほしい。

しかし実際に社会を分断している要素は本当にトランプなんだろうか?僕が見る限り、明らかにトランプのことを嫌いそうな層の人間がアメリカ社会を分断している。それがパイ氏の言う「ディスカッション」から社会を遠ざけているのだ。

 

2017年はパイ氏が催促したような排他的でないアメリカ社会を築く年ではなかったようだ。トランプ政権はあと3年以上続く。マラソンでいったらまだ10km地点だ。トランプが嫌いな連中は、今年起こった出来事を踏まえて反省してほしい。愚痴をこぼすのをやめ、何が問題なのかを指摘するような心構えが必要なのだ。

 

そして日本にいる我々も他人事ではない。ディベートの余地があるにしても、今の日本社会はトランプのような不確定要素が出てもおかしくない状況だ。そうなる前に、少なくとも今インターネット上で起きている不毛な政治バトルはやめて、もっとお互いを理解するよう努めることに徹底した方がいい。そうでなければアメリカのようなキチガイ社会になる。

2018年が平和であるよう願いつつ、良いお年を。